こんにちは、京都在住のライター、まる きょうこです。
今回インタビューするのは、2025年の年明けから春にかけて、嵐山での暮らしを体験されたRucaさん。京都で過ごした感想や、Rucaさんが見つけたおすすめのスポットについて伺いました。
京都への移住や長期滞在をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
両親から継いだ音楽事務所を経営されているRucaさん

ーーRucaさん、本日はよろしくお願いします。まずは簡単にプロフィールをお聞きしてもよろしいですか?
はい。私は両親がともに音楽の仕事をしている家庭で育ちました。私自身も自然と音楽の道に進み、音楽学校を卒業しました。そして現在は、父から受け継いだ小さな音楽事務所を細々と運営しています。
ーーありがとうございます。音楽事務所っていうと、アーティストさんがいらっしゃるとかですか?
ピアノの販売や調律の仕事ですね。電子ピアノの普及や少子化などの影響で、楽器を購入する方が減っているので、事業拡大は難しいですし、このまま続けていくのはどうかなと考えることもあるんですよ。
こう言っては贅沢かもしれないですけれど、自分の意思で始めた仕事ではないので、情熱が持てないというか。仕事に限らず、何でも親から言われた通りにするのが良いことだと教えられてきたので。日本の教育って、そういうところがあるじゃないですか。
家庭でも学校でも。社会に出てからも、割とそうですよね。いつも、周りからどう思われるかを考えながら波風を起こさないように生きてきたので、「自分の人生を生きてないな」って時々虚しい気持ちになることもあるんですよ。あまり、大っぴらに人に話したことはないですけどね。
家族の影響で司会のお仕事も経験

ーーたしか、ほかに司会のお仕事もされていたとお聞きしたような気がします。
その仕事も、気づけば15年ほど続けていましたが、元々は姉のところに依頼があったんですよ。でも姉は多忙で受けられないので、「やってみたら」と私にまわってきたんです。それも、受け身でしたね。
最初の10年ほどはマネジメント会社に所属して活動して、その後は独立して自分の音楽事務所の中に司会の部門を作って、5年間くらい続けてきました。
ーー今はその司会のお仕事はされてないんですか?
そうですね。コロナの影響もあって、状況が難しくなりました。最近は、披露宴を挙げないカップルも増えてきていますしね。
ーーすごく声がお綺麗なので、YouTubeとかでもご活躍できそうな感じがしました。
ありがとうございます。人と会ってお話しする仕事が一番楽しかったので、また何かの形で人前に出る仕事ができたらいいなと思っています。
京都・嵐山での暮らし

ーー今回京都に住まれたきっかけは、ご主人のお仕事の関係ですか?
そうですね。最初から長期じゃなくて一時的にと聞いていたんですが。京都は歴史とか伝統のある憧れの場所だったので、すごく嬉しかったですね。
でも関東と関西では人付き合いの仕方が違うって聞いてたので。実際そこに暮らすってなったらどういう感じなんだろうって不安は少しありました。
嵐山を選んだ理由

ーー住む場所に嵐山を選んだのは、会社の関係とかですか?
住む場所の選択は自由でした。夫と一緒に市内を歩きながら物件を探す中で、最も心に残ったのが嵐山だったんです。自然に囲まれ、散歩をするだけで気持ちが整うような落ち着きがありました。私たち夫婦は散歩が好きなので、ここなら日常そのものを楽しめると感じたんです。
ちょうど条件に合う物件とも出会えたので。時間帯によっては人の気配が引いて、静けさに包まれる瞬間があるのも魅力でした。
時間帯によっては静かな環境も味わえる

ーー嵐山は、かなり観光客が多いエリアってイメージですが…。
一本路地に入ると、驚くほど静けさがあるんですよ。時間帯を選んで混雑を避ければ、観光地の中心に近い場所でも不便さはあまり感じません。
ただ、嵐山の周辺は夕方5〜6時を過ぎると、多くのお店が閉まってしまうという特徴があります。
ーー私も夜に飲食店を探すのにすごく苦労した記憶があります。
嵐山は夕方になると、あっという間に人が減って静かになりますよね。
引っ越したばかりの頃はそれを知らなくて、カフェで本を読んでいたら急に「まもなく閉店します」と言われて、慌てて店を出たこともありました。タクシーも捕まりにくくなるので、夜は少し不便なんです。
その点、河原町あたりは夜までにぎわっています。夜少し寄り道したいという方には、そちらがおすすめですね。
ーー確かに独特なエリアかもしれないですね。じゃあ朝とかは静かな感じですか?
そうですね。欧米人は割と朝早くから歩いてましたよ。9~10時になると、アジア系の方がバーっと出てきて、一気に賑やかになります。
でも時間帯によってはゆったりしていますし、嵐山公園とかは歩くのには良かったですよ。
ーー嵐山公園側は観光客が少ないんですか?
竹林のあたりに比べると、その半分くらいですかね。嵐山公園から上に登ると展望台もあって、紅葉の山々が見渡せるので、その頃また行ってみたいなと思います。
ーーいいですね。結局何か月くらい滞在されましたか?
行ったり来たりしていましたが、5か月間です。年末から準備のために京都で過ごしてました。
嵐山で経験した「京都」

ーー京都のお正月も体験されたんですか?
そうですね。家の玄関の飾りが東京のとは少し違ってて。玄関に門松とか飾るじゃないですか。それが、植物の根っこが付いたものをつけているお宅があって。
最初、その家は自家製の門松を飾っているのかな?と思ったんですけど、他の家も割とそうなんです。後で調べたら、縁起が良いものみたいですね。

ーー人付き合いの仕方の違いが不安だったっておっしゃってましたけど、実際はどうでした?
私たちが住んでいたのはマンションだったので、東京とあまり変わらなかったですよ。近所づきあいもほとんどなくて。町家に住んでいたら、もっと違っていたと思います。
Rucaさんが嵐山で見つけた素敵なスポット
伝統文化に触れられる愛宕街道

ーー嵐山に住まれたなかで、Rucaさんが見つけたおすすめの場所などはありますか?
愛宕街道がすごく印象的でしたね。竹林は観光客が多いので、ゆっくり散歩できる場所を探していたときに、友人からそのあたりの評判を聞きました。
竹林から少し歩いたところにある、伝統的建造物群保存地区なんですけど、昔にタイムスリップしたような場所なんです。茅葺き屋根のお家とか、伝統工芸を扱うお店もあって。

和紙を扱ったお土産屋さんでは、ご高齢の女将さんがさまざまな種類の和紙を説明しながら見せてくれて、和紙を織り込んだ着物の帯も珍しくて印象的でした。
あと、繭玉を使った飾りを売っているお店では、これまたおしゃべり好きの店主さんと会話が弾みました。他にも食事処やカフェがあって、どこも良かったですよ。
観光地だけど、人の温もりを感じられるというか。地元の方々が営むお店で、温かく迎えてもらえた。そんな気持ちになりましたね。
愛宕街道の近くで出会った「嵯峨野のお石」

愛宕街道の周りを歩いていたら、長さが数メートルもある、大きな石が置いてある場所を見つけたんです。天然の石らしいんですけど。
その石から不思議な力が出ているみたいで…。お願いごとができるって、それを目当てに外国人も触りに来ていたんですよね。パワースポットとかに興味があったわけじゃないんですけど、外国人が真剣にお願いしながら触って「おぉ!」とか言っているから、私もやってみたくなったんです。
触ったら、手がビリビリしたんですよ。「なにこれ!?」と思って。ずっと触ってたら、お腹の中から温かくなる感じがあって。その日は寒さで手も足も冷え切っていたんですけど、ポカポカして、「ああなんか気持ちいい〜」と思いました。

その石の近くに座っていると、下界とは違う、異次元にいるような感じがしました。ほとんど車は通らないし、鳥のさえずりも聞こえて。自然の中に包まれて、嫌なことを忘れて無になれるというか。
しばらく座っていたら、その石が私に何か語りかけてくるような感じがしたんです。「自分の好きなことをやっていいんだよ」って。そうしたら、お腹の底から熱いものがグーッと湧き上がってきて、じんわり涙が出ました。
「あれは何だったんだろう?」って、今でもよく分からないですけれど。最初に話したように、私はずっと受け身の人生だったから、「こうしなければ」って思うことしかやってこなかったんです。
でも、「自分がやりたい」って思ったことをやる、どんな小さなことでも。そうすることで、日常がもっと楽しく感じられて、自分の人生を生きているって思えるのかもしれません。そういうことが、「自分を大事にする」ってことなのかなと思いました。
だから、なんとなく「人生に疲れちゃったな」って感じてる人がいたら、嵯峨野のお石に会いに行ってみてください。きっと私みたいに前向きになれると思います。
▼嵯峨野のお石に関するサイト(Instagram)
京都でチャレンジした「やりたいこと」

「嵯峨野のお石」を訪ねてから、京都にせっかくいるんだから、ずっと憧れてたお琴と茶道をやってみたいなと思ったんです。
いつまで京都にいられるか分からないのに、敷居を跨がせてもらえるのかなって不安もありましたけどね。さすが京都には、お教室がたくさんあって。 いくつか電話をしたら、すごくいいお教室が見つかったんです。
お箏は、入って一か月くらいで「さくら」が弾けるようになったんですけど、「伴奏してあげるから、お花見の会で弾いちゃいなさいよ」って、先生が。

その先生は京都生まれの京都育ちの方なんですけど、東京にも住んでいたことがあるそうで、すごくオープンマインドな方だったので意外でした。外国人の体験や長期のレッスンもされていて。今は日本人よりも、外国人の方が、日本の伝統文化を習いたいという人が増えているようですね。
ーーすごくいい先生に出会えたんですね。
はい。茶道のほうも、楽しかったですよ。最初の頃は私服で習いに行っていたんですけど、慣れてきたら着物を着て行くようになって。あの街並みの中を着物で歩いてお茶を習いに行くなんて、「京都を満喫しているな」って思いましたよ。

そこのお教室は、外国人に日本の文化を紹介する事業もしていたので、「うちでお勉強しながら、ときどき手伝ってくれると助かるわ」と社長が言ってくださって。天龍寺や、ふだん開放されていない由緒ある寺院で、外国人の団体ツアー向けに茶道や華道の体験をやっているんですね。
私はまだお茶を点てられないので、先生たちが点てられたものをお配りするだけなんですけれど、所作を意識すると動きが変になってしまって。先生たちは自然に身についていて、本当に美しいな、と思いました。
ーー短期間でぎゅっと凝縮した体験をされたんですね。
そうですね。本当に貴重な体験でした。
自分の感性を大切にして過ごした京都での時間

ーーRucaさんが見つけた素敵なスポットは、さきほどお友達に教えてもらったともおっしゃってましたけど、人に聞いたり自分の足で見つけたりっていう感じだったんですか?
そうですね。一般的なザ・観光地みたいなところはあんまり興味がなくて。何となく気になるっていうセンサーを働かせて、まだあまり知られていない、隠れ家みたいな素敵な場所に出会えるとワクワクしますね。
ーー自分のセンサーを敏感にしておくってすごく大事ですよね。
そういう場所が京都にはたくさんあると思うので、長くいられたらもっと知りたかったです。
ーーまた来られた際には、ぜひめぐってくださいね。
嵐山以外のお気に入りスポット
平安神宮周辺で岡崎疎水めぐり

ーー嵐山以外で、印象深かった場所はありますか?
平安神宮の近くを散策するのも好きでした。近くに疏水がありますよね。疎水沿いを歩く素敵な道があって、周りに風情のあるカフェもあったりとか。
無鄰安でお菓子とお抹茶をいただきながら、友達とゆったりお話ししながら過ごしたのも、いい思い出になりました。
あと線路跡みたいなところに桜もあって。春には、そこで写真を撮っている人が多くいました。

ーーインクラインですね。琵琶湖疎水の傾斜鉄道跡。
それだと思います。そのあたりも風情があって良かったです。
京都にはヴィーガンの店も多い

京都は精進料理の歴史があったり、外国人も多かったりするせいか、クオリティの高いヴィーガンのお店がすごく多くて。私は完全ヴィーガンではないのですが、食べ物には気をつけているのでいろいろなお店を開拓しましたよ。
友達とドライブがてら、京丹波町にあるヴィーガンレストランSoi Soi に行ったんですけれど。
森の中に、大きな窓のある開放的なお店で、とっても素敵なご夫婦が経営されていました。ご夫婦は世界中を旅したことがあるそうで、2か月ごとに各国のオリジナルレシピのヴィーガン料理が楽しめるんです。食で世界を旅しているみたいで、楽しいですよね。
私はリピートして2回行ったんですけど、そのときはインドネシア料理とシリア料理でしたよ。見た目が美しく、味も最高に美味しくて感動しました!奥様がレシピを考案して作っているデザートも本当に美味しくて、芸術の域だなと思いました。
駅から少し距離がありますが、事前に予約をすれば送迎が可能な日もあるとか。また京都に行ったら、ぜひ行きたいです。今度は何料理かな?って楽しみです。
京都を離れた今、思うこと
ーー京都を離れてみて、関東との違いは何か感じましたか?
京都は外国人が観光名所に集中していて、東京のほうが割と分散していると感じました。
ーー東京も今は外国の方って多いんですか?
そうですね。日本文化に興味を持ってくれる外国人が増えてるのは、嬉しいですね。
次に京都で訪れたい場所
ーー今度京都に来られる機会があったら、こんな場所に行ってみたいなっていうところはありますか?
苔寺とも呼ばれている西芳寺は、学生時代から行きたいなと思ってて。たしか予約が必要だったりして行けなかったので。

あと瑠璃光院。紅葉の時期はとくに良さそうですよね。

京都を離れて始めたお抹茶生活

ーー京都に数か月滞在されて、東京にお住まいの今、思うことはありますか?
京都ではお抹茶をいただく機会が多かったので、帰ってきてから、私も夫も抹茶を飲みたいなって思うようになったんですよ。
それでお手頃な茶道のセットをオンラインで取り寄せて、季節の和菓子も用意して、自宅でお抹茶を点てるようになりました。それだけで、休日がかなり充実した感じになりましたよ。
英語で日本の文化を伝えたい

もう一つ、京都で外国人から道を尋ねられたりすることも多かったんですよね。カフェでも、すぐ隣りの席から外国語が聞こえてきたりして。もっと語学ができたらいいなと思いましたよ。関東に帰ってきてから、少しずつですけど勉強するようになりました。
ーーたしかに京都にいると英語は必要ですね。
そうですね。海外に住んでたことはあるので、外国人に距離は感じないんですけど。もっと日本の文化を勉強して、ちゃんと伝えられるようになれたらいいなってすごく思いましたね。
残していきたい日本の伝統文化

あとはやっぱり日本文化。伝統工芸とか生活習慣とか、京都には素晴らしいものがたくさんありますよね。若い作り手さんがちゃんと育って潤っていけるような形で、いいものは残していってもらいたいなって思います。
ーーほんとにそうですね。
もしかしたら、日本人よりも外国人のほうが新鮮に感じて、需要があるかもしれないですね。インターネットを使って世界にも発信しながら、伝統文化を残していってもらいたいと思いました。
ーー私もそういうところを意識して記事書いてみようかなと思います。
意識的に残そうっていう気持ちがないと、風化していってしまうのかもしれません。最近の米不足を見ていても、すごくそう思いましたね。
でも残していくって、楽なことではないと思うんですよ。「本当に守っていきたい」と思って努力をしないと、やっぱりどんどん楽なほうに人間は流されてしまうから。

音楽は、自分の役割としてやっていきたいですね。今はピアノ離れも進んでいるので。
ーーやっぱり、本物のピアノの音色はいいですよね。
電子ピアノは住宅事情を考えると便利ですけれど、音は電波なのでね。生のピアノとは波動が全然違うんですよ。私は自分の音楽の分野で、伝統を残していけるようにと思いました。
京都での滞在期間を経たRucaさんのこれから

今回は、京都・嵐山での暮らしを体験されたRucaさんにお話を伺いました。
数か月という期間でしたが、元々音楽もされており、感性豊かなRucaさんは、京都での生活からたくさん得るものがあったようです。
とくに、これまで受け身で過ごして来られたところから、京都で琴や茶道などにチャレンジされたお話はとても印象的で、本来とてもパワフルな方であることが伝わってきました。
京都での体験を経たRucaさんの今後がとても楽しみです。
お読みになられた方は、Rucaさんのようにご自身の感性を大切に、京都での時間を過ごしてみてくださいね。Rucaさんおすすめのスポットにも、ぜひ足を運んでいただけたらと思います。
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