京都在住のライター、まる きょうこです。
今回は、下鴨神社の歴史ある休憩処、さるやをご紹介します。
江戸時代の茶店を復刻させた『休憩処さるや』

休憩処さるやが下鴨神社の境内にオープンしたのは、2011年のこと。
そう聞くと、比較的新しい茶店なのかと思いますが、実は江戸時代にも存在していたそうです。

店内には、江戸時代のガイドブック『出来斎京土産』の挿絵が飾られています。当時の下鴨神社の様子が描かれており、右下にさるやと書かれた店があるのがわかります。そして店の人が作っているのが、さるやの名物である申餅です。
さるやは、明治維新の際に一度撤廃されてしまったそうですが、神社側から行政への申し入れにより復興しました。下鴨神社が世界遺産であることから、境内に建物を作るのは簡単ではないのだとか。
「歴史ある茶店を復活させ、下鴨神社に参拝者が休める場所を作りたい」
神社を支える人たちの、そのような思いがあってこそ復活した休憩処なのですね。
神前に供えられていた『申餅』

下鴨神社といえば、平安貴族の衣装をまとった人々が京都を練り歩く『葵祭』が有名です。明治維新より前は、葵祭期間の申の日に、小豆のゆで汁でついたお餅をお供えするのが習わしだったのだとか。
『葵祭の申餅』と呼ばれていたこのお餅を、さるやで復刻させたのが、京都の老舗和菓子店の宝泉堂。作り方は下鴨神社の氏子によって伝承されてきたのだそうです。

あずきのゆで汁による、落ち着きのあるほんのりとしたピンク色は、「はねず色」と呼ばれています。
万葉集にも登場する日本の伝統色で、明け方の一瞬の空の輝きを表しているのだとか。一瞬で移り変わるため、「移り気な心」を詠む歌にも使われますが、生命の誕生を意味する色なのだそうですよ。
店内では、ほうじ茶とセットで500円でいただけます(2025年10月現在)。また、賞味期限は当日ですが、5個入りの袋を持ち帰ることもできます。
さるやのかき氷『鴨の氷室の氷』

夏には『鴨の氷室の氷』というかき氷も販売しています。
神前のお供え物を調理する大炊殿には、かつて糺の森の新鮮な雪を保存する『氷室』が存在していました。真夏には、氷を口にしてお祓いをする『氷室神事』もあったのだとか。この伝統にならって作られているのが、さるやのかき氷です。
夏季のメニューですが、今年は暑いせいか10月に入っても提供されいましたので、期間はお店に確認してくださいね。
境内の『休憩処さるや』で下鴨神社の神聖な空気を味わおう

今回は、下鴨神社の休憩処さるやをご紹介しました。
下鴨神社の神聖な空気や、糺の森の自然もたっぷりと味わえる境内の茶店です。本殿を参拝したあとは、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
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