こんにちは、左京区在住のWebライター、まる きょうこです。
今回は、2025年、国宝や重要文化財に指定される見通しとなった琵琶湖疎水施設についてご紹介します。
南禅寺水路閣から蹴上インクラインを通って岡崎疎水へとまわるルートを、見どころたっぷりでお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
琵琶湖疎水のどこが国宝指定になるの?

琵琶湖疎水で国宝になる予定の施設は、以下の5か所です。
- 第一隧道(トンネル)
- 第二隧道
- 第三隧道
- インクライン
- 南禅寺水路閣
琵琶湖疎水は滋賀県大津市から京都市山科区を通って東山区へ流れています。
このうち今回取り上げるのは、東山区にある第三隧道の蹴上側・インクライン・南禅寺水路閣の3か所です。
2025日5月16日、国宝や重要文化財になることについて、国の文化審議会で答申が出されました。官報に掲載されることをもって正式指定となるそうなので、楽しみですね。
蹴上から岡崎へ琵琶湖疎水施設をめぐるルート
ここからは私がおすすめする、京都で琵琶湖疎水施設をめぐるルートをご紹介します。
地下鉄東西線蹴上駅からのスタートを想定して解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ねじりまんぽ(蹴上トンネル)

地下鉄東西線蹴上駅から出たら、まずは「ねじりまんぽ(蹴上トンネル)」をくぐりましょう。
まんぽとはトンネルを表す言葉で、「ねじりまんぽ」はねじれたトンネルを意味します。何がねじれているかというと、この通り。

内側のれんがをらせん状に積むことで、強度を確保しているのだそうです。
ねじりまんぽの入り口には、琵琶湖疎水事業に貢献した第三代京都府知事・北垣国道氏による扁額も掲げられているので、ぜひ注目してみてください。
南禅寺水路閣

ねじりまんぽから金地院の脇を通って南禅寺参道へ。水路閣は、有名な三門を抜けた先の、法堂の右手にあります。
寺院の境内を水路閣が貫くことになった理由は、疎水工事の際、そのままのルートでは水路が亀山天皇の墓所の上を通ってしまうからでした。仕方ない理由ではありましたが、当時は反対の声も多かったそう。
それが今や、和洋折衷の景観が話題となって一大観光スポットとなり、ついには国宝にまで指定されてしまうのだからすごいことですよね。建設に関わった明治の人たちも、天国で喜んでいるのでは、と想像しました。
水路閣の上を歩いて蹴上インクラインへ

南禅寺水路閣は現役で使用されています。その上を、狭いですが水路沿いに歩くことができ、インクラインのてっぺんに辿りつけます。
くれぐれも水路に落ちないよう気をつけてくださいね。
しばらく歩くと、目の前に蹴上発電所の取水口付近に到着します。

行き止まりかな?と不安になる箇所もありますが、大丈夫、そのまま進みましょう。
蹴上発電所の送水鉄管

発電所関連の施設は通常立ち入り禁止なので、柵に囲まれた狭い道を通ります。右側には送水鉄管の姿が。

この鉄管によって、琵琶湖疎水の水が発電所に送られているのですね。眼下には絶景が広がり、平安神宮の鳥居も見えました。

そのほか、周辺には取水口にまつわる厳めしい発電所の施設が並んでいます。お好きな方はじっくり見学してください。
琵琶湖疎水工事の若き責任者・田辺朔郎像

送水鉄管のところを蹴上側に抜けると、田辺朔郎像があります。
田辺朔郎は、21歳にして琵琶湖疎水工事の責任者を担った人物。大学の卒業論文がきっかけというのだからすごいことです。結構長生きした人のようですが、銅像は琵琶湖疎水事業を行った当時の若い姿で作られているようですね。
銅像の周辺にはベンチが置かれ、ちょっとした広場になっているので、休憩スポットとしてもおすすめです。
蹴上船溜と第三隧道

田辺朔郎像からインクラインの上流へ行くと、国宝に指定される第三隧道の入り口があります。横にあるレトロな洋館は、旧御所水道ポンプ室。京都御所に防火用水を送るための施設だったそう。
通常はこれらの施設にあまり近づけません。私のスマホで最大限拡大してこの写真でした。もし近づいて見学したい場合には、特別公開を待つか、春秋に運行するびわ湖疎水船に乗るとよいでしょう。
そばには復元された運輸船もありました。

まさにここからインクラインを下っていく、という船の姿です。
蹴上インクラインを下って南禅寺船溜へ

ここからインクラインを下っていきます。左手・道路の向かい側には、通常非公開の蹴上浄水場が。つつじの咲くゴールデンウィークの頃には公開されます。

また左手には、先ほど上から覗いた送水鉄管を、今度は横の角度から眺められます。

こちらは第二門から出ている送水鉄管で、上部より傾斜がなだらかなようです。傍らには、琵琶湖疎水工事で命を失った人たちの慰霊碑もありました。偉大な事業のなかで、犠牲になった人たちもいるのですよね。
南禅寺船溜

インクラインを下りきると、南禅寺船溜に出ます。インクラインを下降した船がここに到着したわけですね。ちなみにここの噴水は、インクラインの高低差を利用しているそうです。
目の前には京都市動物園、横には琵琶湖疎水記念館もあります。

琵琶湖疎水記念館は無料で入れて、琵琶湖疎水に関する貴重な資料を閲覧できます。
春と秋にはそすいカフェも開いているので、ここで一休みするのもおすすめです。
蹴上発電所

ここでちょっと寄り道してでも見ておきたいのが、「蹴上発電所」。インクラインから三条通りを向かいに渡ったところにある、ツタの絡まる洋館です。
蹴上発電所は第1期から第3期まであり、現行は第3期蹴上発電所。第1期は現存しませんが、第2期の建物はこうして残されており、関西電力に見学を申し込めます(事前予約)。
第2期蹴上発電所が取り壊されない理由には、建物内に皇族による扁額があるからなのだとか。ぜひ実際に見てみたいですね。
岡崎疎水

ふたたび道路を向かい側に渡り、疎水沿いを歩きましょう。
南禅寺船溜から夷川発電所までの疎水は、岡崎疎水と呼ばれています。疎水に沿った小道を歩くと気持ちいいです。

京都市動物園のキリンを外から眺めたり、平安神宮の大鳥居を堪能したりと楽しめるルートです。春なら十石舟に乗ってめぐるのもおすすめ。
夷川船溜と夷川発電所

夷川船溜に到着しました。鴨川ホルモーや有頂天家族の舞台にもなったスポットです。
右手には第三代京都府知事・北垣国道の銅像が。また左手の赤レンガの建物は、夷川発電所です。蹴上発電所のあとに、第二疎水計画として墨染発電所とともに作られました。
十石舟に乗った場合は、ここが南禅寺船溜へと引き返す、折り返し地点になります。
またここは「夷川ダム」でもあり、昔は水泳場として使われ、オリンピック選手も輩出したのだとか。京都の町なかにダムがあるなんて、ちょっと意外ですよね。

夷川ダムの水は、このあと鴨川運河として、鴨川に沿って伏見区のほうへ流れていきます。
ここまで歩いてきた方は、移動なら京阪電車・神宮丸太町駅へ。目の前の鴨川でのんびり過ごすのもおすすめです(飲食はくれぐれもトンビに注意しましょう)。
蹴上から岡崎までの琵琶湖疎水めぐり
本記事では、国宝指定となる琵琶湖疎水施設を中心に、蹴上から岡崎まで琵琶湖疎水をめぐるルートをご紹介しました。
琵琶湖疎水沿いは、桜や新緑・紅葉など、水のせせらぎとともに美しい自然を眺められます。周辺の神社仏閣やレトロ建築などの景観も楽しめて、どの季節に行っても心地よい場所です。
国宝となることを機に、ぜひじっくり見学しながらお散歩してみてくださいね。
*hotarusさんが琵琶湖疎水施設をわかりやすく紹介してくれているYouTube
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