ヴォーリズ建築の駒井家住宅を見学|京都北白川に佇むレトロな洋館

建築

こんにちは。左京区在住のライター、まる きょうこです。

北白川にあるレトロ建築「駒井家住宅」は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した、いわゆるヴォーリズ建築で知られる建物です。

通りかかるたび気になっていたこの住宅に、今回初めて入ることができました。周辺にあるカフェも合わせて紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね。

北白川の白川疎水沿いに佇む駒井家住宅

駒井家住宅は、京都市左京区北白川の、白川疎水沿いに佇むレトロ洋館。駒井博士が留学先のアメリカから帰国してまもない昭和2年頃に建てられた邸宅で、京都市の有形文化財に指定されています。

建築を依頼したヴォーリズとの縁は、駒井博士の妻・静江夫人とヴォーリズの妻・満喜子夫人がともにクリスチャンであったことからだそう。ヴォーリズとしては円熟期の建築にあたるそうです。

建物は2002年より、公益財団法人日本ナショナルトラストによって所有・管理されています。

駒井家住宅までのアクセスは、叡山電鉄茶山・京都芸術大学駅から東へ徒歩8分ほどです。

駒井家住宅の見学は金土のみ

駒井家住宅は、たまに行われる連続公開のほかは、金土のみ見学可能予約フォームからの予約が必要で、週末になるたび「あ!また予約を忘れた」と思うのを私は繰り返していました。

しかし今回、たまたま土曜日に通りかかったところ、駒井家住宅の門と玄関が開いており「公開中」と書かれていたのです。

受付の方に遠慮がちに聞いてみると、今回は予約なしでもOKとのこと。見学料は大人500円。料金を払ったあとは、自由に見てまわれました。

駒井家住宅の間取りと特徴

いただいた資料にあった配置図及び平面図です。駒井家住宅の間取りがわかると思います。

駒井家住宅はスパニッシュ様式を取り入れているのですが、これは当時流行した建築様式だそう。ただ流行りを反映するだけでなく、ヴォーリズは住む人が快適に暮らせるよう配慮する建築家でした。そのため、日本人である駒井夫妻に合わせて和洋折衷の造りになっているのが駒井家住宅特徴です。

駒井家住宅の部屋と庭

ここからは、見学した部屋の一部をご紹介します。

駒井卓博士の書斎

まずはいきなり2階から見学しました。2階の奥にある、駒井卓博士の書斎。窓際に向かった机が素敵です。窓からの光が心地よく、仕事や研究がはかどりそう。

駒井卓氏は京大の教授で「日本のダーウィン」といわれた動物学者。本棚には遺伝学などの分厚い書籍がたくさん並んだままになっており、貴重な部屋の様子に感動しました。

ヴォーリズが配慮した住宅の造り

駒井家夫妻に対する配慮は、細部にも見られます。例えば階段。着物でも歩きやすいように段差が低くなっているそうです。

1階には和室もしっかりとあります。1室でも畳の部屋があると、日本人としてはホッとしますよね。でもよく見ると、窓は洋風なんです。窓辺を障子で仕切ることで洋風の外観をしっかり保ちつつ、部屋の中は違和感なく和室になるという、完璧なまでの和洋折衷の設計です。

また、とても素敵な家の外観ですが、周囲の住宅から浮くことなく、なじむよう配慮されているそうで、ヴォーリズの細やかさを感じます。

和室の隣にはスパニッシュ様式のサンルーム

和室の隣には、サンルームがあります。駒井家住宅のなかでも、とくに美しい部屋です。

和室側からサンルームを見たところ。二つの部屋を仕切る扉は、和室から見れば襖、サンルームから見れば板戸に見えるようになっているのだとか。

外から見たサンルーム。三連のアーチ窓は、スパニッシュ様式の特徴的な形とのこと。

東山を望む庭

駒井家住宅の庭は、東山を望めるように造られたそうです。

外から庭の見学もできました。緑いっぱいのアーチをくぐって庭に入ります。

1階のサンルームからも外に出られる作りになっており、夫妻はここから庭を楽しんだのでしょうね。また、写真の奥に見えるのは離れだそうです。主に、駒井博士の書生さんたちが住んでいたのだとか。

庭の片隅には温室がありました。イギリスのダーウィンの家には、有名な著書「種の起源」の元となる実験が行われた温室があるそう。駒井家住宅の温室は、ダーウィン邸のような温室を自宅にも設置したいという、駒井博士の希望で作られたと考えられています。

中に入れるのかな?と思って、温室の扉に近づいてみましたが、扉が壊れそうだったので開けるのはやめました。

季節によって、色とりどりの花も咲くそうです。まるで外国のような庭の風景を楽しめました。

駒井家住宅の周辺にあるカフェ

駒井家住宅のなかにカフェがあればいいなと思いますよね。私もそう思ったことがありますが、残念ながら駒井家住宅内でお茶をするようなスペースはありません。周辺で立ち寄れるカフェをいくつかご紹介します。

ヴォーリズ建築を堪能できるカフェ「ゴスペル」

まずは、近くとは言い難いのですが「ゴスペル」です。哲学の道近くにあり、ヴォーリズの意思を継ぐヴォーリズ建築事務所による設計のため、2つのヴォーリズ建築を堪能できて個人的にはおすすめ。

駒井家住宅の前に流れる白川疎水沿いを銀閣寺方面へ歩けば、お散歩を楽しみながらたどり着けます。

ベーカリーカフェ「進々堂 京都芸術大学前店」

駒井家住宅から東へ少し歩いて白川通りに出ると、「進々堂 京都芸術大学前店」があります。大学のホールでイベントがあると混雑することもありますが、ふだんはわりと穴場でゆっくりできるカフェです。モーニングもありますよ。

一善や 京都本店

一膳や 京都本店」は、駒井家住宅から西へ少し歩いたところにあります。ケーキ屋さんですが、中でお茶できるようになっています。落ち着いた雰囲気で、レトロ建築を見学したあとにはぴったり。以前はランチも営業していましたが、現在カフェのみのようです。

レトロ喫茶「フィガロ」

叡山電鉄「茶山・京都芸術大学前」駅よりもう少し西へ行けば、東大路通り沿いに「喫茶フィガロ」があります。こちらもクラシカルな雰囲気のカフェなので、駒井家住宅とセットで訪れるにはぴったりです。場所柄それほど混雑することもなく、落ち着いた良い時間が過ごせますよ。

いつか住みたい憧れの家「駒井家住宅」

駒井家住宅をご紹介しました。私にとって駒井家住宅は、いつかこんな家に住んでみたい!という憧れが膨らむような場所でした。ほかにも建物内にはまだまだ見どころがあるので、ぜひ実際に訪れていただきたいと思います。

建物内では、ヴォーリズ建築に関する書籍やポストカードなども販売していたので、ヴォーリズやレトロ建築好きの方は楽しめると思います。

基本的には予約が必要なので、公益財団法人日本ナショナルトラストの公式サイト内にある専用予約フォームで予約して訪れてくださいね。

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この記事を書いた人
まる きょうこ

当サイトの運営者。
20代の頃より京都を旅し続け、2016年に子連れで関東圏から京都市左京区に移住。京都の本屋、カフェ、美術館、レトロ建築めぐりが好き。

仕事はWebライターとオンライン書店店主。京都愛を生かし、地域メディアで多数執筆しています。

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