こんにちは、左京区在住ライターのまる きょうこです。
最近、伊藤若冲にハマっていたところ、ちょうど細見美術館で「細見コレクション 若冲と江戸絵画」展が開催されていたので行ってきました。
全作品撮影OKという展覧会でしたので、絵画の写真も添えて細見美術館の様子をお届けします。
知れば知るほど好きになる伊藤若冲

正直に書くと、私はこれまで、伊藤若冲のことをあまりよく知りませんでした。
そもそも、絵画のことがよくわかりません。美術館という場所は大好きですが、それは空間の美しさが好きなのです。そして作品よりも作品に添えられた解説を読んで、その作者のことを知るのが好き。作品の色使いがどうだとか、自分の目で見てわかるほど詳しくありません。
そんな絵画に疎い私が伊藤若冲に注目したのは、晩年に若冲が過ごしたとされる、深草の「石峰寺(せきほうじ)」に訪れたときでした。境内の奥には、若冲が下絵を描いたという五百羅漢像が並ぶエリアがあるのですが、その異空間のような場所に衝撃を受けました。
またそのとき、若冲が錦市場で生まれた人物ということも知り、調べるうちに伊藤若冲という人物にすっかりハマってしまったのです。伊藤若冲の人物像やゆかりの地については、以下の姉妹サイトでも書いているので、よろしければご覧ください。

面白いもので、人物像を知ると、その人の作品にもどんどん興味が湧いてくるものです。若冲が生まれた錦市場への想いや、若冲が絵を描いてどのように生きようとしたのか。そうした背景を知ることで、絵画の技術的なことはわからなくても、一枚一枚の絵を見る目が変わるから面白いですね。
細見家のコレクションを所蔵している細見美術館

今回の「細見コレクション 若冲と江戸絵画」展が行われている細見美術館は、京都市左京区の岡崎にあります。細見美術館では、琳派など、江戸時代の芸術の作品展を多く開催している印象です。

細見美術館の入り口。左手に進むと受付があります。
今回の展覧会は、当日一般で1,800円でした。受付でもらうシールが入場券になるので、バッグや服に貼り付けて中へ入ります。またロッカーもあるので、旅行中の方は入場する前に荷物を預けられて便利ですね。
館内は吹き抜けの構造になっています。展示室は一つひとつが独立していて、一旦扉から外に出てまた次の展示室へ入る造り。作品にどっぷり入り込んだあと、一度頭と心をリセットしてから次の作品を観に行く…という感覚で楽しめます。
扉を開ける前、次はどんな作品に出会えるのだろうとワクワクできるのもいいです。
数々の若冲作品を堪能
ここからは展示室の様子をご紹介します。
若冲と鶏

若冲は自宅の庭で飼っていた鶏をたくさん描いています。上の写真「花鳥図押絵貼屏風」もそのひとつ。鶏の羽や尾をリアルに描く若冲の筆遣いに要注目です。

私は上の「虻に双鶏図」がお気に入り。飛んでる虻を見上げる鶏の視線が可愛いです。これも手前の鶏の羽に注目。このフワフワとした質感を、若冲は巧みに描いているそうですよ。若冲の自由な発想力のなせる業ですね。
若冲と青果

若冲の家は錦市場の青物問屋であったことから、野菜を描いた作品も多くあります。
有名なのが、釈迦の涅槃図を野菜と果物に置き換えて描いた「果蔬涅槃図」。今回、細見コレクションには展示されていませんが、お釈迦様の代わりに大根が横たわる姿をぜひ実際に見てみたいものです。
もちろん若冲は風刺的に野菜や果物を描いたわけではありません。生まれ育った錦市場の青果への思い入れがあったからこそですね。
若冲と伏見人形図

若冲の作品には、ちょっとゆるい雰囲気の絵もあり、とくに晩年に多く見られるようです。晩年になると作品が抽象的になっていく芸術家って、なんとなく多い気がしますが、そういう境地に達するのでしょうか。
私は上の写真の「伏見人形図」が可愛らしくて気に入りました。表情など、深草にある石峰寺の五百羅漢像にも通じるものがあります。
しかし、ただのゆるい絵ではなく、伏見人形図には若冲の強い思い入れがあるらしいことも知りました。それについても姉妹サイトの記事で触れているので、ぜひご覧くださいね。https://hotarus.net/itojakuchu/
そのほか若冲の弟子の作品も展示されており、若冲に弟子がいたこと自体も興味深かったです。当の若冲は独学に近く、正式な師匠を持たなかったよう。にわかには信じがたい画力ですね。
江戸時代の絵画は「雅と俗の交わり」がテーマ

江戸絵画の展示室では、源氏物語や伊勢物語を描いた作品のほか、遊楽図や太夫図などもありました。今年の大河ドラマ「べらぼう」を意識してのことかもしれません。
若冲の作品とそのほかの江戸時代の作品を比べてみるのも面白いです。…と言いつつ、正直若冲の絵画に夢中で、江戸絵画については今回さらっと見てしまいました。
そんななかでも私が気になったのは「住吉社頭図屏風」。大阪の住吉大社を描いたものですが、当時は住吉大社を参拝するために、船で向かう必要があったことをこの絵で初めて知りました。
大阪の地理や歴史には詳しくありませんが、調べてみると面白そうですね。
細見美術館のグッズを購入できるARTCUBE SHOP

細見美術館のミュージアムショップ「ARTCUBE SHOP(アートキューブショップ)」は、魅力的なグッズが多くて好きです。今回購入した伏見人形図のマグネットは、我が家の玄関に貼っています。
美術関連の書籍も豊富です。また個人的には、ここにあるお香が好き。商品は入れ替わるようなので今もあるかわかりませんが、京都の四条にあるおしゃれなお香屋さん「LISN(リスン)」のお香をこちらで購入したこともあり、とてもよい香りでした。
細見美術館内にある「JAKUCHU CAFÉ」

美術館内のカフェは吹き抜けの中央、地下2階にあります。上から見下ろしたところも、なんともいい雰囲気。細見美術館のイメージにフィットしています。
以前は「CAFÉ CUBE」という名前でしたが、今回の展覧会を機に「JAKUCHU CAFÉ」に変わったそう。もちろん店名は伊藤若冲の名前にちなんでおり、「若冲デザートセット」があるなど、若冲ファンならぜひ立ち寄りたいカフェです。
メニューにはサンドイッチやパスタもありました。私は「CAFÉ CUBE」時代にランチで寄ったことがありますが、素敵な雰囲気だったのでおすすめです。
細見美術館のあとは岡崎疎水をお散歩

細見美術館を出たあとは、目の前の岡崎疎水をぜひお散歩しましょう。岡崎全体がまるで洗練された芸術作品のような場所。平安神宮や、少し歩けば蹴上インクラインなどのスポットも楽しめます。
「細見コレクション 若冲と江戸絵画展」は、2025年5月11日まで開催しているので、ぜひ訪れてみてください。またそのあとには、「広がる屏風、語る絵巻」という展覧会も待っています。私も次回を楽しみにしたいと思います。
*ブログ村に参加しています
今回の情報がお役に立てましたら、クリックで応援お願いします♪